Letter

神経科学:TRPM2イオンチャネルは温暖さに対する感受性に必要である

Nature 536, 7617 doi: 10.1038/nature19074

熱により活性化されるイオンチャネル群は、極端な高温の熱刺激(TRPV2)から始まり、痛みを伴う熱刺激(TRPV1およびTRPM3、ANO1)、痛みを伴わない温かさ(TRPV3およびTRPV4)、痛みを伴わない冷たさ(TRPM8)を経て、痛みを伴う冷たさ(TRPA1)までの全温度範囲を感知することが知られている。しかし、マウスでこれらのチャネルを個々に遺伝的に欠失させても、温度行動に対してはさほど大きな影響は見られず、TRPM8の欠失が例外的に、中程度の冷涼な温度、すなわち10〜25 °Cの範囲での冷たさの感知に顕著な影響を及ぼすだけである。特に、痛みを伴わない温かさを感知する分子機構はまだ解明されていない。今回我々は、カルシウム画像化法を用いて、既知の熱活性化TRPチャネルのいずれをも発現していない温度感受性体性知覚神経の集団を明らかにした。次いで、カルシウム画像化法、電気生理学的手法、RNA塩基配列解読を組み合わせて、これらのニューロンで温度感受性を生じさせるイオンチャネルがTRPM2であることを突き止めた。もっぱら運動性であると一般的に考えられている自律神経もTRPM2を発現していて、熱に対して直接的に応答する。TRPM2を遺伝的に欠失させたマウスでは、非侵害性の暖かな温度の感知が著しく障害されており、これはTRPM2が涼しい所を探す行動を引き起こす温暖シグナルの伝達を開始するという考えと合致する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度