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構造生物学:アロステリックナノボディによって明らかになった、Gタンパク質共役受容体活性化のダイナミックレンジと多様な機構

Nature 535, 7612 doi: 10.1038/nature18636

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、細胞外からのさまざまな合図を細胞内応答へと変換することにより、多くの生理学的過程を調節している。細胞外のオルソステリック結合ポケットにリガンドが結合すると、それによるコンホメーション変化が受容体の細胞質側領域にまで伝わって、Gタンパク質やβアレスチンのような下流のシグナル伝達エフェクターの結合や活性化が促進される。多様なアゴニストが同じ結合ポケットに結合できるが、リガンドはそれぞれ受容体に独特なコンホメーションを誘導するため、下流での応答(つまり「効果」)が多岐にわたることはよく知られている。さらに、主としてβ2アドレナリン受容体(β2AR)をモデル系とした研究によって、活性なコンホメーション、不活性なコンホメーションが複数存在することを裏付ける生物物理学的証拠も増えつつある。しかし、さまざまな影響を持つアゴニスト群が、受容体のこうした構造を調節して細胞応答を開始させる仕組みは十分には解明されていない。今回我々は、ラクダの単一ドメイン抗体(ナノボディ)を使って、β2ARの2通りの異なるコンホメーションを安定化したことを報告する。ここで用いたのは、以前に報告された正のアロステリックナノボディ(Nb80)と新たに見つかった負のアロステリックナノボディ(Nb60)の2種類である。Nb60はこれまで注目されていなかった低親和性状態の1つを安定化し、この状態は受容体の2種類の不活性なコンホメーションのうちの1つに相当することが、X線結晶構造解析と核磁気共鳴分光法によって分かった。アゴニストであるイソプレナリンのβ2ARに対する親和性は、Nb80が存在すると、Nb60が存在する場合に比べて1万5000倍も高くなり、GPCRのアロステリック調節の可動域の最大限の広さがはっきり示された。さまざまな影響を示す17種類のリガンドのβ2ARへの結合を、Nb60あるいはNb80の存在下および非存在下で調べたところ、広範なリガンド特異的影響が明らかになり、それは受容体の少なくとも3種類の状態間の平衡を仮定したアロステリックモデルを用いてしか説明できないことが分かった。アゴニストは一般に、Nb80によって安定化された活性化状態の受容体(R80)を安定化することによって影響を及ぼす。これとは対照的に、数種類の部分アゴニストの場合は、R80の安定化とNb60が結合した不活性な状態の受容体(R60)の不安定化の両方が受容体活性化調整能に関わっている。これらのデータは、リガンドは受容体の複数の状態をさまざまなパターンで安定化し、これによって幅広い細胞応答を可能にしていることを実証している。

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