Letter

細胞生物学:ランゲルハンス島で増殖型と成熟型のβ細胞を見分ける

Nature 535, 7612 doi: 10.1038/nature18624

インスリン依存型糖尿病は、複雑な多因子性の疾患であり、β細胞の欠失または機能不全を特徴とする。膵臓のβ細胞には、サイズ、グルコース応答性、インスリン分泌、前駆細胞能の異なるものが混在しており、この機能的不均一性を司る機構が解明できれば、新たな再生治療の開発につながるかもしれない。今回我々は、Wnt/平面内細胞極性(PCP)のエフェクターおよびレポーター遺伝子であるFltp(別名FlattopおよびCfap126)がマーカー遺伝子として働いて内分泌細胞を2つの亜集団に分け、増殖能のあるβ細胞と成熟したβ細胞を、異なった分子的、生理学的、超微細構造的特徴により識別することを示す。遺伝的系譜を追跡したところ、Fltp陰性と陽性の系譜に由来する内分泌細胞亜集団は、生理学的および病理学的変化に対して異なる反応性を示すことが分かった。内分泌細胞が集まってクラスター化し、極性のある成熟した立体的なランゲルハンス島様の小器官を形成すると、Fltpの発現は増加する。我々は、立体構造とWnt/PCPリガンドのみで、β細胞の成熟に十分であることを示す。それとは対照的に、Wnt/PCPのエフェクターであるFltpはβ細胞の発生、増殖、あるいは成熟に必要でない。立体構造とWnt/PCPシグナル伝達がβ細胞の機能的不均一性の基礎であり、β細胞の成熟を誘導すると我々は結論付ける。Fltpが内分泌細胞亜集団のマーカーであることが明らかになったことで、ランゲルハンス島細胞の不均一性と可塑性の分子基盤の新たな手掛かりが得られ、また、糖尿病患者で内分泌細胞亜集団を標的とすることにより機能するβ細胞集団を再生させることが可能になるかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度