熱帯生態学:世界のサンゴ礁のブライトスポット
Nature 535, 7612 doi: 10.1038/nature18607
世界中でサンゴ礁の構造や機能の劣化が進行しており、そのため、サンゴ礁生態系を維持し、これらに依存する何百万もの人々を支えるための新規の取り組みが求められている。人々の健康や地方の開発に理論および実践を生かすための現時点で未着手の取り組みとして、生態系がさらされている環境条件や社会経済学的動因を踏まえて、生態系の状態が予測より大幅に良好な場所(「ブライトスポット」)、または大幅に劣悪な場所(「ダークスポット」)となる「外れ値」を系統的に見つけ出し、そこから学ぶことが挙げられる。今回我々は、全世界の2500を超えるサンゴ礁からのデータをまとめて、階層ベイズモデルを構築し、サンゴ礁魚類の現存バイオマスが18種類の社会経済学的動因および環境条件とどのように関係しているのかに関する予測を得た。全球的にサンゴ礁を調査する中で、バイオマスのレベルが期待値から大きく逸脱して標準偏差の2倍を超える場所として定義されるブライトスポットとダークスポットが、それぞれ15か所と35か所見つかった。重要なこととして、ブライトスポットには、漁獲圧の低い遠隔地域だけでなく、人口が多く生態系資源の利用度が高い場所も含まれており、このことから、地域社会が強力な変化動因にいかにうまく対処してきたかについて手掛かりが得られる可能性がある。逆に、ダークスポットは必ずしもバイオマスの絶対量が最小の場所というわけではなく、ほぼ未開だと見なされることの多い無人の遠隔地域も含まれている。こうした場所の社会的、制度的および環境的な条件について地元の専門家を対象に調査を行ったところ、ブライトスポットを特徴付けているのは、慣習的タブーや海洋保有権などの強い社会文化的制度、管理への地域住民の高度な関与、海洋資源への高度な依存、および深海の避難場所などの有益な環境条件であることが明らかになった。これに対してダークスポットを特徴付けているのは、集中的な捕獲や貯蓄の技術、および近年の環境面の打撃である。今回の結果は、特に参加権や所有権といった漁業管理の強化への投資が、革新的な保全活動を促して、地域社会が全球的なサンゴ礁劣化という予測に打ち勝つための手助けとなる可能性を示唆している。

