Letter
惑星科学:月の非放射状インブリウムスカルプチャーの起源とその意味
Nature 535, 7612 doi: 10.1038/nature18278
月の表側の大部分は、雨の海(Mare Imbrium)周辺の縁のある溝や線状構造、引き伸ばされたクレーターによって形成されている。こうしたパターンはインブリウムスカルプチャー(Imbrium Sculpture)と呼ばれており、当初から、斜め(約30°)の巨大衝突によって形成されたに違いないと主張されており、最近の研究でも、その結論は支持されている。しかし、インブリウムスカルプチャーの構成要素の多くがインブリウムに向かって放射状に延びていないことが指摘されており、このことは内成的な起源や構造的な起源を示唆している。本論文では、これら非放射状の傾向を使って、インブリウムの衝突天体がかつて小惑星帯の大きな原始惑星集団の一部に属していた原始惑星(ベスタの直径の半分)であったと結論付ける。インブリウムなどの盆地を形成した衝突天体のサイズに課されるこのような独立した制約によって、木星や土星の軌道移動によって生じた天体減少以前の小惑星帯の総質量の推定値は大幅に増加する。さらに、実験室での衝突実験、衝突物理コード、溝幅からは、インブリウムを形成したような斜め衝突で盆地を形成した衝突天体から生じた複数の破片(最大で初期半径の2%)は、惑星衝突を生き延び、43億~38億年前の隕石の重爆撃に寄与したはずであることが示される。

