Letter
高エネルギー宇宙物理学:潮汐破壊事象の降着流における相対論的な反響
Nature 535, 7612 doi: 10.1038/nature18007
超大質量ブラックホール周辺の湾曲した時空に関する我々の現在の理解は、活発に降着を受けているブラックホールに基づいているが、こうしたブラックホールはブラックホール全体の10%にも満たない。そうした小さな割合のブラックホールのX線観測からは、こうしたブラックホールの多くが高速で回転していることを示す、強い重力赤方偏移が明らかになっている。しかし、選択バイアスは、この結果が宇宙の大多数のブラックホールを必ずしも反映しているわけではないことを示している。残り90%のブラックホールについては、その他の点では休止状態のブラックホールを軌道運動している星が、潮汐によって破砕されブラックホールへ降着する潮汐破壊事象によって、周辺の時空を短時間だけバイアスなしに垣間見ることができる可能性がある。潮汐破壊の観測から、降着円盤の形成と降着に駆動されるジェットの始まりがこれまでに明らかになっているが、ブラックホールの回転の計測を可能にする、内側の降着流からの放射は明らかになっていなかった。本論文では、潮汐破壊事象であるSwift J1644+57における、内側の降着流に反射された重力的に赤方偏移した鉄Kα輝線の光子から生じる反響の観測について報告する。反響の時間スケールから、このブラックホールの質量は太陽質量の数百万倍であると見積もられ、降着率はエディントン限界の100倍以上であると示唆される。このまれな超エディントン事象の相対論的な深部からの反響の検出は、ジェットの相対論的に移動する領域からX線が生じておらず、これまでの考えとは異なっていることを示している。

