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分子生物学:TTC39B欠損はLXRを安定化することでアテローム性動脈硬化と脂肪性肝炎の両方を減少させる

Nature 535, 7611 doi: 10.1038/nature18628

脂肪性肝炎は欧米諸国で広く増加してきている疾患だが、有効な治療法がなく、また関連する細胞機構もほとんど解明されていない。転写因子の一種である核内受容体の肝臓X受容体(LXR)に対する合成アゴニストは、脂肪肝を誘導するという事実があるが、一方でLXRは、抗アテローム性動脈硬化活性、コレステロール除去活性、抗炎症活性を有するため、興味深い研究対象であり続けている。今回我々は、ヒト全ゲノム関連研究で高密度リポタンパク質(HDL)との関連が発見された遺伝子であるtetratricopeptide repeat domain protein 39B(Ttc39b、別名C9orf52;以下T39と記載)が、LXRのユビキチン化および分解を促進することを示す。T39欠損(T39−/−)マウスに通常の食餌を摂取させると、HDLコレステロール値の上昇を示したが、これは小腸上皮細胞でのAbca1(ATP-binding cassette transporter A1)の発現上昇、およびLXRのメッセンジャーRNAの変化を伴わないタンパク質の増加と関連していた。T39−/−マウス、あるいは肝細胞特異的にT39を欠損するマウスに、高脂肪/高コレステロール/胆汁酸塩の食餌を摂取させると、肝臓でのLXRタンパク質の増加およびLXR標的遺伝子の発現の増加が見られ、また、予想外にも脂肪性肝炎や死亡から保護された。T39欠損に加えて低密度リポタンパク質(LDL)受容体を欠損する(Ldlr−/−T39−/−)マウスに、高コレステロール(欧米型)の食餌を摂取させると、脂肪肝の減少、HDLの増加、LDLの低下、アテローム性動脈硬化病変の減少が見られた。T39の欠損は、肝臓でのAbcg5/8発現の増加や食餌性コレステロール吸収の減少に加えて、肝臓でのsterol regulatory element-binding protein 1(SREBP-1、別名ADD1)のプロセシングを抑制する。これは、多価不飽和脂肪酸を含むミクロソームのリン脂質が増加することと、これに関連する、ホスファチジルコリン生合成および多価不飽和脂肪酸のリン脂質への取り込みを仲介する酵素群のLXRα依存性の発現上昇により説明される。内因性LXRタンパク質の保存は、コレステロール除去を促進しつつ脂質生合成を抑制するという、有益な遺伝子発現プロファイルを活性化する。従ってT39の阻害は、脂肪性肝炎とアテローム性動脈硬化の両方を減少させる効果的な戦略になり得ると考えられる。

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