認知神経科学:霊長類の背側経路での意思決定関連活動の機能的意義の区別
Nature 535, 7611 doi: 10.1038/nature18617
意思決定を下す際には、脳の複数の領域のニューロンに、決定と相関した反応が表われる。しかし、さまざまな形で見られるこの決定関連活動が、意思決定と因果的な関係を持つかどうかは不確かである。今回、運動方向識別課題を実行中のアカゲザルで、外側頭頂間野(LIP)と中側頭野(MT)から記録を取りながら、LIPとMTの可逆的な不活性化処置を行うことで、この問題を検討した。LIPのニューロンは、意思決定に必要と想定される証拠蓄積過程と直接的に類似した発火率パターンを示し、それらの反応の変動とアカゲザルの選択の間に強い相関が見られた。それに対してMTのニューロンは、それらの反応の変動と選択の間の相関は弱く、運動符号化時の感覚の役割に符合した発火率パターンを示した。各領域を薬理学的に不活性化した場合の行動への影響は、決定関連活動の程度とは逆相関していた。つまり、MTニューロンの不活性化は、心理物理学的遂行を強く障害したが、LIPニューロンの不活性化は、決定と強く相関する活動を示したまさにその細胞集団を抑制しても、意思決定の遂行に検出可能な影響を与えなかった。LIPの不活性化は、心理物理学的行動を阻害しなかったが、自由選択対照課題での空間選択や眼球運動指標には、はっきりと影響が見られた。知覚的意思決定に影響がなかったことは、試行やセッションを重ねても変わらず、刺激のタイプを変えても課題の配置を変えても同じで、幾種類かの補償作用によるものではないと結論される。従って、LIPの決定関連信号は、知覚的意思決定の演算には重要ではないようであり、二次的な過程を反映したものではないかと考えられる。今回の知見は、意思決定との相関関係と因果関係とを明確に区別するもので、強いニューロン-決定相関があっても、それは必ずしも決定の基盤となる神経演算への直接的関与を意味するものではないことを示している。

