材料化学:ゼオライト鋳型におけるマイクロ多孔質3Dグラフェン様炭素のランタン触媒を用いた合成
Nature 535, 7610 doi: 10.1038/nature18284
ゼオライト骨格によく似た周期的なナノ細孔を有する三次元グラフェン構造体は、グラフェンの性質と三次元多孔質構造を組み合わせることができる可能性があるため、注目の話題となっている。最近、鋳型としてのゼオライトと、狭い細孔開口部に入り込める炭化水素小分子を用いることによって、そうしたグラフェン様炭素の合成が試みられている。しかし、炭化水素の熱分解炭化(純粋な炭素の生成に必要なステップ)は高温を必要とし、結果として細孔の外側に炭素が非選択的に堆積する。今回我々は、ゼオライトの細孔にランタンイオンを埋め込むことによって、エチレンやアセチレンの炭化に必要な温度を低くできることを明らかにする。この方法では、鋳型の外表面に炭素を堆積させずに、ゼオライト鋳型の内部にグラフェン様炭素構造体を選択的に形成できる。炭化後のゼオライト単結晶のX線回折データから、炭素原子に対応する電子密度がゼオライト細孔壁に沿って生じていることが示された。ゼオライト鋳型を除去した後の炭素骨格は、アモルファスメソ多孔質炭素よりも2桁高い電気伝導度を示した。ランタン触媒反応によって、直径1 nm未満のゼオライト細孔の中で炭素骨格の形成が可能になる。このため、ゼオライトのさまざまな細孔サイズと形状に対応する多種多様なトポロジーのマイクロ多孔質炭素ナノ構造体を複製できる可能性がある。我々は、細孔サイズの大きいゼオライト(FAU型、EMT型、ベータ型)、中程度のサイズの一次元細孔を持つゼオライト(LTL型)、より細孔サイズの小さいゼオライト(MFI型、LTA型)について、炭素合成を実証した。こうした触媒効果は、ランタン、イットリウム、カルシウムに共通の特徴であり、これらの元素は全て炭化物を形成する金属元素である。また我々は、今回の合成が容易にスケールアップできることも示す。このことは、リチウムイオン電池やゼオライト様触媒担体の製造などの実際的応用に重要になるだろう。

