Article

幹細胞:単一細胞の分解能で造血幹細胞の形成を追跡

Nature 533, 7604 doi: 10.1038/nature17997

造血幹細胞(HSC)は、造血内皮細胞やプレ造血幹細胞(pre-HSC)などの胚性前駆細胞から発生早期に生じるが、pre-HSCの分子的特徴はいまだに明らかでない。今回我々は、強力な表面マーカーを用いて新生pre-HSCを高純度で捕捉し、単一細胞から始める連続移植によって厳密に確認した。次に、単一細胞RNA塩基配列解読により、大動脈–生殖腺–中腎(AGM)領域の内皮細胞、CD45 pre-HSCおよびCD45+ pre-HSC、そして胎仔肝のHSCを解析した。pre-HSCは、転写装置、動脈のシグネチャー、代謝状態、シグナル伝達経路および転写因子ネットワークにおいて固有の特徴を示した。機能的に、mTOR(mechanistic targets of rapamycin)の活性化はHSCの出現に不可欠だが、造血前駆細胞の出現には不可欠でないことが分かった。トランスクリプトームのデータに基づく機能解析から、pre-HSCの細胞周期状態の顕著な不均一性が明らかになった。さらに、pre-HSCの主要な分子シグネチャーも明らかになった。総合すると今回の研究は、in vivoでのHSCの段階的な形成を調節する複雑な分子機構を解明するための道を開き、臨床応用のためにHSCを操作する今後の取り組みに情報を提供するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度