Letter

化学物理学:赤外周波数コム分光法による低温複雑分子の連続プロービング

Nature 533, 7604 doi: 10.1038/nature17440

高分解能赤外分光法は、分子の構造とダイナミクスを調べるのに半世紀以上にわたり重要な役割を果たしてきた。室温では、あまり大きくない分子でも占有する回転/振動状態は数百万に及び、スペクトルが非常に密集して特定が難しいことから、そうした研究の大半はこれまで比較的小さく単純な系に限定されてきた。より複雑な分子を標的とするには、広帯域の(すなわち、多くの振動バンドに広がる)赤外スペクトルを、高い分解能と高い感度で記録できる方法が必要である。しかし、赤外分光法はこれまで、狭い帯域幅と長い取得時間か、低い感度と分解能のいずれかによって制限されていた。共振器増強直接周波数コム分光法(CE-DFCS)は、光周波数コムに固有の広帯域幅と高分解能、および高フィネス増強共振器から得られる高い検出感度を組み合せたものであるが、スペクトルの密集という問題を依然として抱えている。本論文では、バッファーガス冷却を使って、連続的に低温分子試料を生成し、続いてこの試料についてCE-DFCSを行い、この問題を解決できることを示す。こうした統合によって、ニトロメタンのC–H伸縮領域において回転状態を分解した直接吸収スペクトルを得ることができた。ニトロメタンは、我々が振幅の大きな振動運動を理解する上で難しい課題となるモデル系である。我々はこの手法を、ナフタレン、アダマンタン、ヘキサメチレンテトラミンを含む、分光学的・宇宙化学的に基本的に重要ないくつかの大きな有機分子にも使用した。こうした結果から、これまで調べられたものよりずっと大きく、より複雑な分子を研究する今回の方法の有用性が明らかとなり、効率、スペクトル分解能、特異性を数桁改善して、複雑な分子とその動態を研究することが可能になる。

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