内分泌学:高脂肪食誘発性肥満におけるニューロテンシンの必須の役割
Nature 533, 7603 doi: 10.1038/nature17662
肥満とそれに関連する共存症(例えば、糖尿病や肝臓脂肪症)は、毎年、約250万人の死亡に関与しており、医療従事者が直面する最も一般的で治療が困難な疾患群に含まれる。ニューロテンシン(NT、別名NTS)は、小腸の特殊化した腸内分泌細胞に集中的に存在し、脂肪の摂取によって放出される13個のアミノ酸からなるペプチドで、ラットの腸で脂肪酸の移行を促進し、さまざまながんの増殖を促す。NTの作用は既知の3つのNT受容体(NTR1、NTR2、NTR3;別名それぞれNTSR1、NTSR2、NTSR3)が仲介している。pro-NT(NTと等モル量で産生される安定なNT前駆体断片)の空腹時血漿レベルの上昇は、糖尿病、心血管疾患、死亡のリスク上昇に関連しているが、これらの疾患の原因となる要因としてのNTの役割は分かっていない。今回我々は、NT欠損マウスでは、腸の脂肪吸収が有意に減少していること、また、高脂肪食の摂取に関連する肥満、肝臓脂肪症、インスリン抵抗性から防御されることを示す。さらに、NTがマウスや培養腸細胞でAMPK(AMP-activated protein kinase)の活性化を減弱させて脂肪酸の吸収を促すこと、そしてこれがNTR1およびNTR3(別名sortilin)が関与する機構を介して起こることを実証する。このようなマウスでの結果と一致して、ショウジョウバエ(Drosophila)の中腸の腸内分泌細胞にNTを発現させると、中腸、脂肪体、エノサイト(特殊化した肝細胞様細胞)での脂肪の蓄積増加と、AMPK活性化の減弱が引き起こされた。重要なことに、ヒトでは、肥満の場合もインスリン抵抗性の場合も、pro-NTの血漿濃度が上昇していることが分かり、また、非肥満者を対象とした縦断的研究では、pro-NTのレベルが高いとその後肥満になるリスクが倍増することが示された。我々の知見は、NTと脂肪吸収の増加および肥満を直接結び付けており、NTが、将来肥満になるかどうかの予後マーカーや、予防および治療の標的候補になる可能性を示唆している。

