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がん免疫療法:コレステロール代謝を調整することでCD8+ T細胞の抗腫瘍応答を増強する
Nature 531, 7596 doi: 10.1038/nature17412
CD8+ T細胞は、抗腫瘍免疫において中心的な役割を担っているが、その活性は腫瘍微小環境では抑制されている。CD8+ T細胞の細胞傷害性を再活性化することはがん免疫療法において臨床的に非常に重要である。今回我々は、コレステロール代謝の調整により、マウスCD8+ T細胞の抗腫瘍応答を増強できる新しい機構について報告する。重要なコレステロールエステル化酵素であるACAT1の遺伝的除去、あるいは薬理学的阻害により、T細胞でのコレステロールエステル化を抑制すると、CD8+ T細胞のエフェクター機能の増強や増殖の増大が引き起こされたが、このような効果はCD4+ T細胞には見られなかった。これは、CD8+ T細胞の細胞膜コレステロールレベルの上昇のためであり、コレステロールレベルの上昇によってT細胞受容体のクラスター形成やシグナル伝達が増大するとともに、免疫シナプスのより効率的な形成が引き起こされた。マウスでは、野生型CD8+ T細胞よりも、ACAT1欠損CD8+ T細胞の方が黒色腫の増殖や転移をよりよく制御した。ACAT阻害剤のアバシミブは、これまでにアテローム性動脈硬化症治療の臨床試験が行われて、ヒトにおける良好な安全性プロファイルが示されており、今回このアバシミブをマウスの黒色腫治療に用いたところ、良好な抗腫瘍効果が観察された。アバシミブと抗PD-1抗体の併用療法は、単剤療法よりも腫瘍のプログレッションの抑制効果が高いことが示された。従って、アテローム性動脈硬化症の確立された標的であるACAT1はがん免疫療法の有望な標的でもある。

