細胞生物学:βアレスチンバイオセンサーにより明らかになった受容体依存性の迅速な活性化/脱活性化サイクル
Nature 531, 7596 doi: 10.1038/nature17198
(β)アレスチンは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の重要な調節因子であり、リン酸化された活性型GPCRに結合する。アレスチンの結合によってGタンパク質への「古典的な」シグナル伝達は遮断され、クラスリン装置との相互作用によってGPCRのインターナリゼーションが引き起こされて、アレスチンは「非古典的」経路によるシグナル伝達を仲介するようになる。アレスチンタンパク質は、桿体および錐体の光受容体に結合する2種類の視覚アレスチン(アレスチン1とアレスチン4と呼ばれる)の他には、非視覚型の2種類のβアレスチンタンパク質(βアレスチン1とβアレスチン2;別名アレスチン2とアレスチン3)しか存在しない。これら2つのβアレスチンは、数百もの異なった(非視覚型)GPCRを調節している。これらのアレスチンタンパク質がGPCRに結合するには、通常、活性型の受容体とそのGタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)によるリン酸化が必要になる。受容体、あるいはそのカルボキシ末端への結合や、タンパク質のある種の部分切断が、(β)アレスチンの活性型コンホメーションを誘導し、このコンホメーションは最近X線結晶構造解析によって明らかにされた。今回我々は、ヒト生細胞でのβアレスチンとGPCRの相互作用とβアレスチンのコンホメーション変化を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いるβアレスチン2バイオセンサー系によってリアルタイムで調べた。βアレスチン2ではコンホメーション変化に受容体特異的なパターンが観察され、こうした変化は受容体とβアレスチン2との結合直後に起こる。アゴニストを取り除いた後、これらのコンホメーション変化は受容体との直接的な結合時間よりも長く維持される。今回のデータは、GPCRとβアレスチンの間に、受容体の種類に特異的で迅速に起こる2段階の結合・活性化過程があることを示している。また、βアレスチンは受容体から解離した後も活性な状態を維持していて、それによって細胞表面にとどまり、おそらく独立してシグナル伝達を行えることも示された。従って、GPCRはβアレスチンが受容体特異的活性化/脱活性化を迅速に繰り返すサイクルを引き起こし、これがβアレスチンの活発なシグナル伝達を可能にしているのだろう。

