Letter

気候変動生態学:北方帯および温帯の高木は呼吸において温暖化への強い順化を示す

Nature 531, 7596 doi: 10.1038/nature17142

植物の呼吸に伴う大気への二酸化炭素(CO2)フラックスの年間量は、化石燃料の燃焼によるCO2の年間排出量の6倍に上り、どちらの量が変化しても将来の気候に影響を及ぼすと考えられる。植物の呼吸は温度に対して正の応答をするので、温暖化する世界では呼吸によるCO2放出量が増え、これにより大気の温暖化がさらに進む可能性がある。一方で、植物の呼吸が温度の変化に順化して、全球の気温上昇に対する植物の呼吸の正のフィードバックを弱める可能性もあるが、気候温暖化に対する長期(週単位から年単位)の順化を実地環境で示した証拠がないため、将来の気候条件下での呼吸によるCO2放出量について現実的な予測ができずにいる。今回我々は、森林条件で数年間にわたって生育させた北米の高木10種の幼木で、実験的温暖化と季節的温度変動の両方に対して葉の呼吸の強い順化が起こったことを示す。外気温を3.4°C上回る条件で生育させて測定した幼木では、外気温条件で生育させて測定した幼木と比較して、葉の呼吸量が平均5%増加していた。順化が起こらなければ、葉の呼吸量は23%増加したと考えられる。従って、非順化の植物体で予測される葉の呼吸量増加のうち80%は順化によって解消されたことになる。温度変化1°C当たりの葉の呼吸量の順化は、実験的温暖化と季節的温度変動で同程度だった。また、今回観察された温度上昇1°C当たりの葉の呼吸量増加は、過去の研究で報告された平均値の半分に満たなかった。これらの過去の研究は、ほとんどが今回の研究よりも短い期間で実験室的環境において実施されている。葉の温度順化のこうした抑制的作用が広く働くのであれば、気候温暖化に対応した陸上植物の呼吸速度上昇は予測を下回ると考えられ、大気のCO2濃度は予想されているほど上昇しない可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度