ナノスケール材料:ナノマテリアルの柔軟な表面が可能にする強いフォノン相互作用
Nature 531, 7596 doi: 10.1038/nature16977
フォノン、およびフォノンと他のフォノン、フォノンと電子、フォノンと光子の相互作用によって、物質におけるエネルギーの利得、損失、輸送が生じる。バルクの結晶性半導体では、フォノン状態密度が測定され、計算されているものの、ナノマテリアルからの半導体のボトムアップ作製やナノメートルサイズの部品のデバイスへの集積がますます盛んになっているにもかかわらず、ナノマテリアルのフォノンはまだほとんど理解されていない。今回我々は、非弾性中性子散乱測定とab initio分子動力学シミュレーションを用いて、ボトムアップで作製した半導体のフォノン特性を結晶サイズの関数として定量化した。微結晶半導体とは異なり、ナノ結晶ドメインがある半導体のフォノンモードは、これらのドメイン表面が機械的に柔軟であるため、対称性の低下と低エネルギーの両方を示すことが明らかになった。こうした特性は、半導体デバイスにおいてフォノンが電子と結合する時に重要になる。ナノ結晶物質では、電子状態が少なくそれらのエネルギー間隔が大きいため、当初は電子とフォノンとの結合は抑制されると考えられていたが、その後、電子–フォノン結合は大きく、ピコ秒当たり1 eVを超える高いエネルギー散逸速度が可能になることが示された。励起子ダイナミクスにおけるフォノンの役割が詳しく調べられ、こうした高遷移速度の起源に関するさまざまな説が提唱されており、数値的に遷移速度を計算する試みが行われたにもかかわらず、ナノマテリアルの電子–フォノン相互作用を取り巻く基本的な問題はまだ解決されていない。フォノンに関する微視的理論と熱力学理論、ナノマテリアルのフォノン特性に関する今回の知見を組み合わせて、強い電子–フォノン結合と、トラップ状態への電荷キャリアの高いマルチフォノン遷移速度を説明し、実験的に確かめることができた。このようにフォノン過程のさらに進んだ理解が得られたことから、ナノマテリアルの合理的な選択、それらの表面処理、こうした特性を組み込んだデバイスの設計が可能になる。

