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光物理学:アト秒光パルスと、束縛電子の非線形応答の追跡

Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16528

束縛電子が光の電磁気力に応答するのにかかる時間によって、物質の動的制御や電磁信号処理の基本的な速度限界が決まる。物質の非線形屈折率の時間積分測定の結果は、光場に対する束縛電子の非線形応答が瞬時に起こらないことを示している。しかし、スペクトル測定の結果を使って、任意の駆動力に対する媒質の時間応答を推定するのに不可欠な非線形感受率テンソルの完全なスペクトル特性評価はまだ行われていない。アト秒クロノスコピーが確立されたことから、電磁場に対する正エネルギー電子のインパルス応答が、極端紫外アト秒パルスや強い近赤外場による原子や固体のイオン化を通して調べられている。しかし、これまで行われたアト秒研究で、束縛電子の非線形応答を直接観測したものは1つもない。本論文では、可視光と可視光近傍のスペクトル領域で合成した強いアト秒光パルスによって、束縛電子のダイナミクスをサブフェムト秒で制御し計測できることを実証する。波形を制御した強いアト秒光パルスを受けたクリプトン原子から放出された真空紫外スペクトルから、最長115アト秒の束縛電子の有限な非線形応答時間が明らかになった。この非線形応答時間は1オクターブ高い光場に敏感で、この光場によって制御できる。今回の研究によって、固体の原子ポテンシャル、分子ポテンシャル、格子ポテンシャル中の束縛電子の新しい分光研究と共に、サブフェムト秒の時間スケールとペタヘルツの速度で動作する、光に基づくエレクトロニクスが可能になるかもしれない。

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