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固体地球科学:ローソン石の脱水反応は沈み込む海洋地殻内での地震の直接的なきっかけとなる可能性がある
Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16501
冷たい沈み込み帯におけるやや深発地震は、マントル内のみならず沈み込む海洋地殻内で発生することが観測されている。それとは対照的に、温かい沈み込み帯におけるやや深発地震は、主にモホロビチッチ不連続面の直下で起きている。このような観測は、青色片岩相の変成作用と地震活動との間の、特にローソン石鉱物が関与する脱水反応との関連性についての興味を刺激している。今回我々は、グリッグス型変形試験機によってローソン石の変形実験を行い、同時に音響放射を測定した。試料を変形させると同時に、ローソン石の熱的安定性を超えて温度を上昇させ、ローソン石の脱水反応によって不安定断層すべりが生じるかを調べた。同様な実験をアンチゴライト蛇紋岩に対して行った場合とは対照的に、不安定な断層すべり(すなわち固着すべり)がローソン石の脱水反応の間に生じ、音響放射信号が連続的に観測された。微細構造の観察結果は、ひずみが断層に沿って極度に局在し(R1剪断とB剪断)、断層表面には鏡肌(摩擦すべりによって磨かれた極めて滑らかな断層面)が発達したことを示している。ひずみ速度と温度上昇速度にかかわらず、全ての実験条件で不安定すべりの間の荷重の減少勾配は試験機の剛性に従った。実験に対する熱機械学的スケール係数は天然の沈み込み帯に対する見積もりの範囲内で、天然に存在するローソン石層内で不安定摩擦すべりが起きる可能性があることを示している。

