Letter
化学:システイン・バイオコンジュゲーション用の有機金属パラジウム試薬
Nature 526, 7575 doi: 10.1038/nature15739
遷移金属反応は、有機合成において、特に小分子の官能基化に幅広く用いられてきた。しかし、遷移金属反応を用いて複雑な生体分子を修飾したという報告はほとんどない。これは、厳密な反応条件(例えば、水性媒体、低い温度、温和なpHなど)が必要なことや、生体分子中に複数の反応性官能基が存在することに起因する。今回我々は、パラジウム(II)錯体が、さまざまな生体適合性反応条件下での安定で速やかな高効率・高選択的システイン・コンジュゲーション(バイオコンジュゲーション)反応に使用できることを報告する。こうしたパラジウム試薬は、入手しやすいさまざまなハロゲン化アリールやトリフルオロメタンスルホン酸前駆体から容易に合成されるので、今回の方法は非常に実用的であり、タンパク質修飾のために広い構造空間が利用可能になる。得られたアリール・バイオコンジュゲートは、酸、塩基、酸化剤、外部からのチオール求核試薬に対して安定であった。今回のバイオコンジュゲーション・プラットフォームの幅広い実用性は、新種のステープルド・ペプチドや抗体薬物コンジュゲートを合成することによってさらに裏付けられた。こうしたパラジウム錯体には、さまざまなバイオコンジュゲーション用の研究試薬としての可能性がある。

