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古人類学:中国南部で見つかった現生人類であることが明らかな最古の化石

Nature 526, 7575 doi: 10.1038/nature15696

アジア南部には、後期更新世前期のヒト族の記録が極めて少ない。約4万5000年以上前のもので、年代が十分に確定され、保存状態も良好で、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)に属すると明確に判断できる化石は今のところ存在しない。本論文では、道県(中国南部)の新たに発掘された福岩洞(Fuyan Cave)から得られた証拠を示す。この遺跡では、年代測定で8万年以上前のものとされるヒトの歯が47点見つかっており、推定年代の最大値は12万年前にもなる。この標本の形態と計測値の評価から、これが明らかにホモ・サピエンスのものであることが裏付けられた。この道県の標本は、他のどの解剖学的現生人類よりも派生的であり、後期更新世の中期~後期の現生人類標本、さらには現代人とも類似している。このことから、完全に現代人的な形態は、レバント地方やヨーロッパよりも3万~7万年早く中国南部に存在していたことが明らかになった。今回のデータは、ホモ・サピエンスがアジア南部に初めて出現した時期の解明に関わる年代的・地理的空白を埋めるものである。道県のこれらの歯は、中国南部には中国中央部および北部よりも派生的な集団が同時期に居住していたとする仮説の裏付けにもなる。この証拠は、現生人類の分散経路の研究に重要である。最後に、今回の結果は、ホモ・サピエンスのヨーロッパへの移入が比較的遅かった理由の探究にも関係してくる。ホモ・サピエンスとの競争でネアンデルタール人(H. neanderthalensis)が絶滅に至った経緯を調べた研究はいくつかある。注目されることとして、完全な現生人類は、中国南部では少なくとも約8万年前という早い時期にすでに存在していたが、ヨーロッパでは約4万5000年以上前に移入した証拠が存在しない。このことは、ネアンデルタール人が実際には現生人類に対する付加的な生態学的障壁となっていて、ネアンデルタール人が絶滅に向かい始めてようやく現生人類がヨーロッパに入り込めたことを示していると考えられる。

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