寄生虫学:古くから平衡選択を受けているゲノム領域で見つかった新規の重症マラリア抵抗性座位
Nature 526, 7572 doi: 10.1038/nature15390
アフリカにおける鎌状赤血球ヘモグロビンの保有率の高さは、マラリアがヒトの進化的選択の重要な推進力となってきたことを示している。しかし、これ以外に、マラリアに対する抵抗性を付与することが大規模な疫学研究によって明らかになっている多型は意外なほど少ない。我々はこの問題に取り組むため、アフリカの1万1000人以上の小児を対象に、生命に関わる熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)感染(重症マラリア)について多施設の全ゲノム関連研究(GWAS)を行い、さらに1万4000人で追試データを得た。本論文では、熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入の受容体となるグリコホリンをコードする遺伝子クラスターの近傍にある、新規のマラリア抵抗性座位を報告する。この座位のハプロタイプの1つは、重症マラリアに対して33%の防御効果をもたらし(オッズ比 = 0.67;95%信頼区間 = 0.60~0.76;P値 = 9.5 × 10−11)、また、ヒトとチンパンジーの間で共通のハプロタイプに基づいて古くからの平衡選択の特徴を持つことがすでに分かっている多型と連鎖していることが明らかになった。これらのデータは、血液型O型がマラリア防御に果たす役割に関するこれまでの観察結果と共に、重症マラリアの最も強いGWASシグナルのうち2つが、赤血球細胞膜の糖鎖修飾された表面被覆をコードする遺伝子の内部あるいは近傍に存在していることを明らかにしている。どちらのシグナルも、進化によって数百万年前から多様性が維持されていると思われるゲノム領域内にある。これらの知見は、マラリア感染の転帰を決定するのに極めて重要な、宿主–原虫相互作用を解明するための新たな手掛かりとなる。

