Letter
分析化学:イオン移動度質量分析法を用いる糖アノマーの同定
Nature 526, 7572 doi: 10.1038/nature15388
糖は、至る所に存在する生体高分子であり、さまざまな生物学的過程において重要である。しかし、糖は枝分かれ構造をとる他、モノマー間の各グリコシド結合に立体中心が存在することから、糖の特性評価はペプチドやオリゴヌクレオチドよりも困難である。核磁気共鳴分光法などの方法を用いてグリコシド結合を評価できるが、この手法はミリグラム量の物質を必要とする上、共存する少量の異性体を検出できない。これに対して、質量分析法では、少量の試料でも糖の組成や結合性に関する情報が得られるが、立体異性体を区別できない。今回我々は、イオン移動度質量分析法(分子を質量、電荷、サイズ、形状に応じて分離する方法)で、糖の結合異性体や立体異性体を明確に同定できることを実証する。我々は、組成、結合性、立体配置が異なる6つの合成糖異性体を分析した。我々のデータは、共存する糖異性体を同定でき、相対濃度0.1%という低濃度の微量異性体も検出できることを示している。加えて、分析時間は短く、誘導体化の必要がなく、サンプルは少量でよい。こうした結果は、イオン移動度質量分析法が、複雑な糖の分析に効果的な手段であることを示している。今回の方法は、1970年代後半に高速液体クロマトグラフィーの出現がペプチド集合体の分野に与えたのと同様の影響を、糖合成の分野に及ぼす可能性がある。

