光物理学:ディラックコーンから生じる除外点のリング
Nature 525, 7569 doi: 10.1038/nature14889
ディラックコーンは、グラフェンやトポロジカル絶縁体の多くの特異な電子特性の基礎であり、そのバンド構造は、1つの点で接触する2つの円錐形バンドであり、導波路アレイ中の光子や光格子中の原子で、また偶然縮退を通しても実現されている。ディラックコーンが変形するとしばしば興味深い特性が現れる。その一例が量子ホール効果であり、一定磁場によってディラックコーンが壊れて分離したランダウ準位になる。一見すると無関係な現象が除外点であり、パリティ–時間対称性が破れる点としても知られている。この除外点では、2つの共鳴が位置と幅の両方で一致する。除外点から、損失誘導透過、一方向性の透過や反射、ポンプ依存性が反転したレーザーや単一モード動作のレーザーなど、直観に反した現象が起こる。ディラックコーンと除外点は関係がある。すなわち、特定の非エルミート摂動はディラックコーンを変形させ、除外点のリングを生じさせることができると理論的に提案されていた。今回我々は、フォトニック結晶スラブにおいてそうした「除外リング」を実験的に実証した。フォトニック結晶スラブの角度分解反射測定によって、反射率のピークは偶然縮退に起因するディラックコーンの円錐形バンド構造に従うのに、この系の複素固有値は変形して除外リングが囲む二次元フラットバンドになることが明らかになった。この変形は、双極子共鳴と四重極子共鳴の異なる放射率から生じ、これはパリティ–時間対称な系の損失と利得に似た役割を果たしている。今回の結果は、どのような開放系にも存在する放射は、物質の損失と利得が存在するときのみ、これまで予測されていたやり方でその物理特性を基本的に変更できることを示している。

