DNAナノ構造:DNA折り紙の折りたたみ経路を誘導する
Nature 525, 7567 doi: 10.1038/nature14860
DNA折り紙は、一本鎖DNAテンプレートを数百本の短い「ステープル」鎖と共にアニーリングすることによって、折りたたんで目的の構造体を形成する強力な組み立て技術である。そうした構造体形成を誘導する設計原理は、目的の構造体が最も安定な唯一の構造をとるというものである。折りたたみ転移は協同的であり、タンパク質の場合と同様に、そのポリマー配列にコードされた情報に支配される。一般的な折り紙は、折りたたみによって主として目的の形状を形成するが、誤って折りたたまれた(misfolded)構造体は、速度論的に系をトラップして収率を低下させる可能性がある。組み立て条件を調整することや経験的な設計ルールに従うことによって収率を向上できるが、きちんと折りたたまれた折り紙を、誤って折りたたまれた構造体から分離する必要があることが多い。この問題は、組み立て経路と速度論的特性を十分理解した上で合理的に最適化すれば、原理的には回避できる可能性がある。このために、今回我々は、識別可能できちんと折りたたまれた少数セットの形状を形成できるという珍しい特性を持つDNA折り紙系を提示する。こうした形状は、広大な折りたたみランドスケープにおいて離散的でほぼ縮退したエネルギー極小値を示すため、組み立て過程を調べることが可能になる。きちんと折りたたまれた折り紙構造体が高い収率で得られたことから、高効率の折りたたみ経路の存在が裏付けられると同時に、その形状分布から、折りたたみランドスケープを通る個々の軌跡に関する情報が得られる。我々は、タンパク質の折りたたみと同様に、DNA折り紙の組み立てが非常に協同的であること、過渡的な誤った折りたたみからの回復には可逆的な結合形成が重要であること、そして初期の長距離連結の形成によって特定の折りたたみが非常に効果的に強化され得ることを見いだした。我々は、これらの知見を用いて、目的の構造に向けて組み立てを導くように系を設計するための情報を提供する。従って、組み立て経路を含むように合理的な設計過程を拡張することで、特に、より複雑な構造体を目的とする場合に、より再現性の高い合成が可能になるはずである。我々は、DNA折り紙が急発展を続け、信頼性の高い製造技術になるには、こうした拡張が不可欠になると予想する。

