化学生物学:4本ヘリックスバンドルはメタン酸化のための銅を貯蔵する
Nature 525, 7567 doi: 10.1038/nature14854
メタン酸化菌(メタン資化性菌)は、膜に結合した(粒子状)メタンモノオキシゲナーゼのために、大量の銅を必要とする。一部のメタン資化性菌は、メタン酸化反応を触媒するのに、鉄を含む可溶性メタンモノオキシゲナーゼを使うよう反応を切り換えることができるが、この切り換えは銅によって調節されている。メタンモノオキシゲナーゼは、強力な温室効果ガスであるメタンの大気中濃度を抑制するための、自然界に存在する主要な生物学的機構である。さらにメタン資化性菌とメタンモノオキシゲナーゼは、バイオレメディエーション(生物的環境修復)や、汎用化学品あるいは精製化学物質を産生する生体内変換の分野で、また、特に再生可能な供給源や頁岩の水圧破砕から得られるメタンが増加していることを考えるとバイオエネルギー分野で、非常に大きな可能性を持つと考えられる。今回我々は、メタン資化性菌のMethylosinus trichosporium OB3bに由来する新しい銅貯蔵タンパク質(Csp1)を発見し、これが細胞質から運び出され、粒子状メタンモノオキシゲナーゼのために銅を貯蔵することを明らかにした。Csp1は4本ヘリックスバンドルからなる四量体であり、各単量体には最大13個のCu(I)イオンが結合し、結合はバンドル中心部に突き出したCys残基が主として関わるというこれまでに例のない様式で行われる。Csp1は、確立したタンパク質折りたたみモチーフの内部に金属を貯蔵するタンパク質の初めての例である。今回の研究により、メタン資化性菌がメタン酸化のために銅を貯蔵する仕組みについての詳しい知見が得られた。メタン資化性菌の幅広い生物工学的応用を実現させるには、銅貯蔵過程の解明が不可欠である。さまざまな細菌の細胞質にCsp1の相同体が存在しており、これらの生物は細胞質では銅を利用しないという定説に疑問を投じるものだ。

