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がん:IL-17を産生するγδ T細胞と好中球は協働して乳がんの転移を促進する

Nature 522, 7556 doi: 10.1038/nature14282

転移性疾患は、依然として乳がん患者の主要な死因であり続けている。転移カスケードのそれぞれの段階は、がん細胞とその微小環境との相互的な作用に依存している。免疫細胞やそのメディエーターは、この局所的な微小環境内や遠隔臓器で転移巣形成を促進することが知られている。しかし、腫瘍が誘発する全身性炎症の転移への寄与の詳細や、全身性炎症を調節する機構についてはほとんど解明されていない。今回我々は、乳がん自然転移のマウスモデルで、腫瘍が全身的な炎症カスケードの誘発によって転移の機会を最大にしていることを示す。機構的には、インターロイキン(IL)1βがガンマ・デルタ(γδ)T細胞でのIL-17発現を引き起こし、その結果として顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)に依存した好中球の全身での増殖と分化偏向が見られるようになることが、乳腺腫瘍が発生しているマウスで実証された。腫瘍によって生成が誘導された好中球は、CD8抗原を発現する細胞傷害性Tリンパ球(転移の確立を制限する)を抑制できるようになる。IL-17あるいはG-CSFの中和や、γδ T細胞の除去は、好中球の蓄積を防ぎ、好中球のT細胞抑制表現型を減少させる。さらに、γδ T細胞あるいは好中球が存在しないと、原発腫瘍のプログレッションには影響がないが、肺やリンパ節への転移が大幅に低減する。我々のデータは、免疫系内でがん細胞によって開始されるこの新規なドミノ効果(γδ T細胞/IL-17/好中球軸が関わる)の標的化が、転移性疾患を防止する新しい戦略の1つとなることを示している。

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