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岩石学:リソスフェア–アセノスフェア系の電気的異方性に対する実験的制約

Nature 522, 7555 doi: 10.1038/nature14502

リソスフェア・プレートとその下のマントルの相対運動は、リソスフェア–アセノスフェア境界の近くで局所的な変形を生成する。レオロジー的により強いリソスフェアからより弱いアセノスフェアへの変化は、アセノスフェア内に少量のメルトか水があり、粘性を低下させるために生じている可能性がある。どちらの可能性でも、深さ約200 kmまで広がっている地震波異常と電気的異常を説明できる。しかし、上部マントル条件における変形した物質の物理的性質に対するメルトの影響はよく分かっていない。本論文では、高温かつ約3ギガパスカルの準静水圧下において、あらかじめ変形したカンラン石集合体と剪断変形した部分溶融岩の電気的異方性を測定した結果を提示する。全ての試料で、電気伝導度は事前の変形の方向と平行なときに最大となった。大きく剪断変形したカンラン石試料の剪断方向の電気伝導度は、変形していない試料の10倍であった。約900°Cを超える温度では、メルト分布がほぼ等方的に変形した固体マトリックスの電気的異方性因子は5以下であった。大きな電気的異方性(最大100倍)を得るために、剪断変形したカンラン石の層が、剪断変形したカンラン石にMORB(中央海嶺玄武岩)が加わった層または純粋なメルト層と交互に重なっているという実験に基づくモデルを提案する。剪断方向の電気伝導度は、剪断方向と垂直な方向に比べて最大で100倍大きく、応力によって生じるメルトの配列を再現する。今回の実験的結果とモデルは、メルトを含む地質学的状況でのマントルの電気伝導度の深さプロファイルを再現する。電気的異方性を持つアセノスフェアの上に等方的で電気伝導度の大きいリソスフェア最下部が重なっていると考えると、観測データと最もよく一致する。大きな電気伝導度は、マントルとプレートの速度の差に起因する局所的な変形に伴う部分溶融とその結果起こるアセノスフェアから上へ向かうメルトの浸透によって生じている可能性がある。

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