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幹細胞:基底状態の腸幹細胞のクローニングと多様性
Nature 522, 7555 doi: 10.1038/nature14484
消化管、膵臓、肝臓および他の器官の円柱上皮の幹細胞はいずれも、その基本状態でのクローニングが難しい。今回我々は、ヒトの小腸および結腸のクローン形成能が高い「基底状態」の幹細胞をクローニングおよび増殖させたことを示す。得られた幹細胞系統は、大規模な連続継代にもかかわらず、コピー数や配列の多様性が限られた状態を維持しており、腸管に沿った起源部位と一致する極めて正確で細胞自律的な上皮分化への運命拘束を示すことが分かった。このように幹細胞の運命拘束が発生的にパターン化され、エピジェネティックに維持されていることで、成体の腸管の機能的な特異性が強化されている可能性が高い。クローンに由来する結腸上皮を用いて、腸内病原菌Clostridium difficileの毒素Aあるいは毒素Bが偽膜性大腸炎の顕著な特徴を再現することを示した。このような幹細胞のエピジェネティックな運命拘束プログラムの安定性は、複製による無制限の増殖やクローン形成能の維持と共に、これらの細胞を疾患モデル作成や再生医療において使用する際に一定の利点をもたらすと考えられる。

