発生生物学:心外膜の再生は心臓流出路とヘッジホッグシグナル伝達により誘導される
Nature 522, 7555 doi: 10.1038/nature14325
心臓の傷害に応答して、心外膜と呼ばれる心臓を覆う中胚葉組織層が活性化されて増殖し、傷害部位に集積する。最近の研究で、心外膜が、心筋細胞の生存あるいは増殖のためのパラクリンシグナルの発生源として、血管周囲細胞およびおそらく心筋細胞などの他の細胞タイプの供給源として、そして炎症のメディエーターとして、心臓再生の複数の局面で関与することが示唆されている。しかし、成体の心外膜の生物学的性質および動態はよく分かっていない。これを調べるために、我々は成体ゼブラフィッシュで心外膜細胞集団を欠如するトランスジェニック系統を作製した。今回我々は、心筋消失後に心外膜を遺伝的に欠損させると心筋細胞の増殖が抑制され、筋再生が遅延することを見いだした。心外膜は除去後、残存心外膜細胞が露出した心室表面を覆うシートとして心室基部から心尖方向に波紋状に増殖、遊走することで、活発に再生する。我々は、ex vivoで心外膜再生を再構築することによって、動脈球(心室からの流出を分配する独特な平滑筋豊富な組織構造)の摘除が、心外膜の再生を阻害することを示す。逆に、組織組換えによる動脈球の実験的再配置は心外膜再生を開始させ、その方向性を支配できる。ヘッジホッグ(Hh)リガンドは動脈球で発現し、Hhシグナル伝達阻害薬による処置で心外膜再生は停止し、筋傷害に対する心外膜応答が鈍くなる。ソニックヘッジホッグ(Shh)を浸漬したビーズを心室基部に移植すると、動脈球除去後の心外膜再生を誘発することから、Hhシグナル伝達が流出路の作用を代替できることが示される。従って、心室心外膜は顕著な再生能を有し、その能力は隣接する心臓流出路とHhシグナル伝達によって調節されている。以上の結果から、再生中の組織相互作用に関する我々の理解は広がり、心外膜細胞動員による治療的心臓修復の可能性が示唆される。

