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古気候学:最終氷期における急激な気候変動の正確な極間の同調

Nature 520, 7549 doi: 10.1038/nature14401

最終氷期には急激なダンスガード・オシュガー気候振動が起きた。その証拠は北半球のさまざまな古気候アーカイブに保存されている。氷床コアは、ダンスガード・オシュガーサイクルにおけるグリーンランドの温暖期に、南極大陸が寒冷化し、その逆も起こったことを示しており、バイポーラーシーソーと呼ばれる機構によって半球間で熱が再分配されたことが示唆される。大西洋の南北方向の鉛直循環(AMOC)の強さの変動が大きく影響していたと考えられているが、こうした急激な事象のダイナミクスや誘因については分かっていないことがまだ多い。重要な情報は、両半球の気候変動の相対的な位相差に含まれているが、気体による年代と氷による年代の違いが大きくてあまり絞り込まれておらず、南極の氷床コアから得られたメタンの記録の分解能が比較的低いため、メタンに基づいて、要求される100年未満の精度で年代を一致させることができなかった。本論文では、最近掘削された涵養量の多い南極の氷床コアを用いて、ベーリング事象を含むダンスガード・オシュガー事象では、平均で、グリーンランドの急激な温暖化が対応する南極の寒冷化の開始に218 ± 92年(2σ)先行し、グリーンランドの寒冷化が対応する南極の温暖化の開始に208 ± 96年先行したことを示す。今回の結果は、急激な気候シグナルが北から南へ向かい、大気過程ではなく海洋過程によって南半球高緯度域へ伝播することを立証している。温暖期への遷移と寒冷期への遷移における両極間の位相差が似ていることは、気候シグナルが伝わる時間はAMOCの背景状態に依存しないことを示唆している。今回の知見によって、バイポーラーシーソーにおける海洋循環の中心的役割が裏付けられ、ダンスガード・オシュガーダイナミクスの仮説とモデルシミュレーションを評価する明確な基準が得られる。

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