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社会行動学:オキシトシンは皮質で抑制のバランスを取ることで母性行動を可能にする

Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14402

オキシトシンは社会的相互作用や母性行動に重要である。しかし、オキシトシンがいつどこでどのように神経回路を調節し、社会的認知能を高めるのかは、ほとんど分かっていない。今回我々は、オキシトシンが雌マウスで仔の鳴き声に対する聴覚野の応答を高めることで、仔の回収行動を可能にしていることを明らかにした。回収行動には左右の聴覚野のうち左側のみが必要で、左側聴覚野へのオキシトシン投与で回収行動が促進される他、オキシトシン受容体も左側の聴覚野で選択的に発現していた。仔の鳴き声への神経応答は側性化しており、母マウスの左側の聴覚野では興奮性応答と抑制性応答が同時調節されて時間的にも正確だったのに対し、仔を産んだことのない雌成体ではそうした応答が見られなかった。また、鳴き声とオキシトシン投与を組み合わせることで、抑制と興奮の強度とタイミングのバランスが取れて応答が強化された。今回の結果は、オキシトシンが社会的音響刺激の明瞭度を高める基本的シナプス機構を示している。さらに、オキシトシンで誘導される可塑性は、聴覚野における処理の側性化についての生物学的基盤となる。

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