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生態学:植物群落では系統発生学的構造と宿主個体数が病害圧力を左右する

Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14372

病原体は自然群集の構造や動態を形作るのに重要な役割を果たしており、これは病原体による影響が全ての生物種で同等ではないためである。生態学と疫学に共通する目標の1つは、任意の生物種がどのようなときに病気に最もかかりやすくなるかを予測することである。ある有力な仮説では、病気の影響は宿主の個体数が増えるにつれて強まり、「希少種の優位性」が生まれるとされている。しかし、病原体の多くは複数の種に感染し、近縁種へと波及していくため、病原体の影響は宿主の個体数と連動していない可能性がある。本論文では、周囲の群集の系統発生学的および生態学的構造が病害圧力(disease pressure)の重要な予測因子となり得ることを示す。1つの草原植物群落全体を調べたところ、病気に冒された組織の量が、1つの種の相対的個体数が増えるのに伴って増加していた。また、この「希少種の優位性」には「病害圧力は近縁種が多い種により強くかかる」という、さらなる系統発生的要素もあることが分かった。病原体の共有を宿主間近縁度の関数とする包括的モデルを用いたところ、局所スケールの相対的な病害圧力の強固な予測因子が得られた。調査した草原における病害の全体量は、対象とする宿主のみの個体数によってではなく、宿主からの系統発生学的な距離で重み付けした群落内全種の個体数によって最も正確に説明された。さらに、このモデルから、試験場に実験的に導入した新規宿主44種に関して認められた病害圧力が強く予測され、系統発生学的に見て希少な種を導入すると侵入種になりやすい理由を説明する機構の根拠が得られた。今回の結果は、植物群落の系統発生学的および生態学的構造が病害の動態に重要な役割を果たす場合があることを示しており、生物多様性の維持や、外来の雑草に対する生物的抵抗性、農林業で管理される植物の順調な生育にも関わってくる。

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