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構造生物学:TRPA1イオンチャネルの構造から示唆される調節機構
Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14367
TRPA1イオンチャネル(別名ワサビ受容体)は、環境で遭遇する、または組織傷害や薬物代謝の際に内因性に産生される侵害性化学物質の検出器である。これらの侵害性化学物質には、共有結合性タンパク質修飾によってチャネルを活性化する広範囲にわたる求電子物質が含まれる。TRPA1アンタゴニストは、刺激物質への曝露により誘発あるいは増悪する神経性炎症性疾患の治療に使える可能性がある。TRPA1機能の解明が重要だという理由がいくつもあるにもかかわらず、チャネル調節の基盤となる構造的機構は明らかではない。今回我々は、単一粒子低温電子顕微鏡法を用いて、強力なアンタゴニストなどのファーマコフォア存在下で完全長ヒトTRPA1の構造を分解能約4 Åで決定した。ポリリン酸補因子により安定化される大規模なコイルドコイル集合ドメインや、予測外なTRP(transient receptor potential)様アロステリックドメインに収束する高度に統合された集合体などのいくつかの予想外の特徴が明らかになった。以上の結果から、TRPA1調節機構に関する新たな手掛かりが得られ、構造を基盤とする鎮痛薬や抗炎症薬の設計の青写真が確立される。

