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地球化学:地球と月の偏った後期集積を示すタングステン同位体の証拠

Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14355

月のマントルのハフニウム–タングステン系(182Hfが半減期890万年で崩壊し、2個の電子を放出して182Wになる)の特性を求めることによって、現在受け入れられている月の形成と進化に関する巨大衝突理論に関与する時間スケールと過程を絞り込むことができ、後期集積仮説を検証するためのより良い制約条件が得られる。月のマグマオーシャンの結晶化生成物において、W同位体組成が均一で地球マントルに似ていることが報告されている。こうした観測結果は、182Hfがもはや残存しなくなった後、つまり太陽系が形成されてから約6000万年以上過ぎた後、月が形成され、月のマグマオーシャンが結晶化したことを反映していると解釈されている。本論文では、これまで報告されていたものよりも4倍以上精度の高い、月の試料3個のW同位体データを提示する。この新しいデータによって、月のマントルの精密な182W量が、現在の地球マントルより20.6 ± 5.1 ppm(標準偏差: ± 2)多いことが明らかになった。月のマントルと現在の地球のマントルの差は、月の形成直後は2つの天体のW同位体組成は同じだったが、月と地球では後期集積が偏っていたために差が広がったと仮定すると最もよく説明できる。このモデルが示唆することの1つは、月を形成した衝突天体の核にあった金属が、地球の核と合体する途上で地球マントルの高親鉄性元素を効率よく除去し、かなりではあるがまだよく決められていないレベルの金属–ケイ酸塩平衡が必要だったことである。

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