Letter
地球科学:河川網の分断の結果としてin situで形成されている起伏の小さい地形
Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14354
地球上の地形は、それらが形成されたときのテクトニクス、環境、気候変動の記録を保持している。地形は、河川が安定勾配に達する平衡状態へと向かう傾向にあり、この段階でテクトニクスによる標高の上昇と、傾斜が十分に急で物質を河川流路に輸送できる斜面が釣り合う。平衡状態にある起伏の小さい地表は、海水準へ向かって傾斜が緩くなる低地で一般的に見られる。しかし、残存する景観や隆起した準平原と呼ばれる、高地にある起伏の小さい地表の例は数多い。こうした地形は、海水準へ向かって傾斜が緩くなっておらず、隆起した古い地形であって、以前のより穏やかなテクトニクス条件を保存していると一般的に解釈されている。本論文では、世界で最も地理的に複雑で、気候と生物種が多様な地域の1つである、チベット高原南東縁辺域の残存する景観といわれている地域のデジタル地形解析によって、この地形進化モデルを検証する。その結果、理論とは対照的に、残存したと考えられる地表は、新しくて勾配がより急な河川への漸進的な進化とは一致しないので、古くて起伏の小さい地表が残存したものとは必ずしも解釈できないことが分かった。我々は、テクトニクス的な変形によって地域的な河川網が分断され、残存した河川網が孤立してあまり排水されない地域となるため、テクトニクスによる隆起との釣り合いを保てなくなるという、数値実験によって裏付けられた代替モデルを提案する。このモデルでは、浸食速度が低く起伏の小さい状態は、過去の浸食条件を保存しているのではなく、in situで発達していることが示唆される。

