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構造生物学:Cs補正低温電子顕微鏡により < 3 Å分解能で得られた大腸菌リボゾーム–EF-Tu複合体の構造
Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14275
単一粒子低温電子顕微鏡法(クライオEM)は、最近になって電子顕微鏡装置とコンピューター画像解析法が向上したことにより、高分子複合体の高分解能構造決定で大きな進展が見られている。しかし、クライオEMで得られた構造は局所的な分解能に高い不均一性が見られる場合があり、現在までに得られた構造は、分解能が3 Å以下のものに限られている。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)由来の70Sリボゾームについて、伸長因子Tu、アミノアシルtRNAおよび抗生物質キロマイシンと複合体を形成した際のクライオEM構造を、球面収差(Cs)補正クライオEMを用い、2.65~2.9 Å分解能で示す。2.9 Å分解能でのクライオEM再構成像は、大腸菌70Sリボゾームの最も分解能の高いX線構造(2.8 Å)に概して匹敵するものだが、機能的に重要なリボゾームの中心部についてはもっと詳細な情報(2.65 Å分解能)が得られる。クライオEMマップによって、細菌リボゾームの35 rRNAの修飾全ての構造が初めて明らかになり、リボゾームの構造および機能の微調整と、抗生物質の作用の調節におけるこうした修飾の役割が説明される。また、リボゾームタンパク質L9やL31のような、リボゾームの柔軟な部分の原子モデルも得られた。クライオEMに基づく精密化モデルは、高分解能で得られた大腸菌リボゾームの、現時点で最も完全に近い構造を示しており、大型で動的な高分子複合体の構造決定におけるクライオEMの力量を実証している。

