免疫学:スーパーエンハンサーはT細胞で疾患に関連する調節ノードを形作る
Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14154
エンハンサーは時間的・空間的な遺伝子発現を調節し、細胞の独自性を引き出す細胞特異的な転写出力を付与する。スーパーエンハンサー(SE;別名ストレッチエンハンサー)は、細胞の独自性や疾患の遺伝的リスクと関連する遺伝子群にとってとりわけ重要なエンハンサー群である。CD4+ T細胞は、宿主防御および自己免疫に不可欠である。今回我々は、細胞運命の指定に関与する重要な調節ノードを突き止めるための不偏的方法として、マウスT細胞SEのマップを解析し、T細胞ではサイトカインおよびサイトカイン受容体がSE構造を示す遺伝子の主要なグループであることを見いだした。それにもかかわらず、エフェクター分化の中心的な負の調節因子であるBach2をコードする遺伝子座が最も重要なT細胞SEであることが明らかになり、T細胞の生物学的性質に不可欠なSE関連遺伝子群がBACH2によって抑制されるネットワーク構造がはっきりした。関節リウマチなどの免疫を介する病気での疾患関連一塩基多型は、典型的なエンハンサーや他の細胞系でのSEと比べると、T細胞SEに非常に高い頻度で存在していた。興味深いことに、JAK(Janus kinase)阻害剤トファシチニブでT細胞を処理すると、SE構造を持つ関節リウマチリスク遺伝子群に偏って発現変化が生じた。まとめると、これらの結果は、T細胞中のSE構造を持つ遺伝子群はさまざまなサイトカインおよびサイトカイン受容体を含むが、それ自身にSEが備わっている「守護神」的な転写因子によって制御されていることを示している。従って、SEのリストアップによってT細胞での重要な調節ノードを不偏的に突き止めることが可能になる。そのような調節ノードは薬理学的介入によって選択的に修飾される。

