Letter

植物科学:植物の水分消費量を、遺伝子操作したアブシジン酸受容体を使って農薬により制御する

Nature 520, 7548 doi: 10.1038/nature14123

気温の上昇および淡水の供給量の減少は農業生産を脅かしており、植物の水分消費量や乾燥耐性を改善するための研究を推し進める動機となっている。水が不足すると、植物はアブシジン酸(ABA)の生産量を増やし、孔辺細胞の開口制御などの防御反応により水分消費量やストレス耐性を向上させている。水分消費量を制御する有望な戦略の1つとしてABA受容体を活性化する化合物の開発があるが、使用が承認されたアゴニストはまだない。既存の農薬によって活性化できる改変ABA受容体があれば、原理的にはこの目標を達成できる。今回我々は、ABA受容体PYR1(PYRABACTIN RESISTANCE 1)のバリアントの1つが、農薬マンジプロパミドに対してナノモル濃度レベルの感受性を持つことを報告し、形質転換植物でABA応答および乾燥耐性の制御にこれが有効であることを示す。さらに、結晶学的研究からその活性の構造的基盤が明らかになり、PYR1のリガンド結合ポケットは新しいリガンドに対応した変更が比較的容易であることが分かった。従って、我々は受容体の遺伝子操作を用いて、ある農薬を新しい目的に転用することに成功した。こうした戦略は植物の他の受容体にも適用できると考えられ、農作物の改良への新たな道が示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度