人類学:イスラエル・マノット洞窟のレバント人頭蓋骨はヨーロッパにおける最初の現生人類を予示している
Nature 520, 7546 doi: 10.1038/nature14134
人類進化における重要な事象の1つは、アフリカ起源の現生人類が6~4万年前にユーラシア全体に広がり、他のあらゆる種類のヒト族に取って代わったことである。この年代の人類化石は極めて少ないため、現在の非アフリカ人集団全ての祖先に当たるこれらの現生人類についてはまだ多くが謎に包まれている。本論文では、マノット洞窟(イスラエル・西ガリラヤ)で最近発見された部分的な頭蓋冠について報告する。これは、ウラン・トリウム年代測定法によって5万4700 ± 5500年前(算術平均 ± 2標準偏差)のものであることが明らかになっており、ユーラシア全体への現生人類の分散という重要事象を解明する糸口となる。この頭蓋冠標本Manot 1の全体形状および個々の形態的特徴は、この部分的頭蓋骨が明らかに現生人類のものであることを示している。その形状は後期旧石器時代のヨーロッパ人頭蓋骨やそれより新しい時代のアフリカ人頭蓋骨に近いが、レバント地方で発見されている他の初期の解剖学的現生人類のものとは異なっている。このことから、マノット地域のレバント人集団は、後にヨーロッパに定着した最初の現生人類と近縁である可能性が示唆される。従って、ヨーロッパでの「同化モデル」を裏付けるために用いられる解剖学的特徴は、ヨーロッパのネアンデルタール人から受け継がれたのではなく、それより古いレバント人集団に由来している可能性がある。さらに、現時点でManot 1は、旧石器時代の中期から後期への移行期にレバント地方南部で現生人類とネアンデルタール人が共存していたことを示す証拠となる唯一の現生人類標本であり、年代的にも、ネアンデルタール人との間に想定されている交雑事象と近い。

