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神経科学:ありふれた遺伝的バリアントがヒトの脳の皮質下構造に影響を及ぼす
Nature 520, 7546 doi: 10.1038/nature14101
ヒトの脳の高度に複雑な構造は、遺伝的な影響が強く働いて形作られる。脳の皮質下領域は皮質領域と回路を形成して、運動、学習、記憶、動機付けを調整しており、回路が変化すると異常行動や病気に結び付く可能性がある。ありふれた遺伝的バリアントがこうした脳領域の構造にどのような影響を与えるかを調べるため、今回我々は、50のコホートに由来する3万717人の磁気共鳴画像から得た7つの皮質下領域の体積と頭蓋内容積について、全ゲノム関連解析を行った。その結果、被殻と尾状核の体積に影響を及ぼす新しい遺伝的バリアントが5つ見つかり、また、海馬の体積や頭蓋内容積に影響することがすでに判明している3つの座位について、これまで以上に強力な証拠が得られた。これらのバリアントは、脳の構造全体に全般的な影響を及ぼすのではなく、構造に特異的な体積効果を及ぼすことが分かった。最も影響が強く見られたのは被殻で、ある新しい遺伝子間座位(rs945270)は体積に対して再現可能な影響力を示し(P = 1.08 × 10−33;分散説明率0.52%)、脳組織と血液組織の両方でKTN1遺伝子の発現を変化させるという証拠が得られた。被殻の体積に影響を与えるバリアントは、アポトーシス、軸索誘導、小胞輸送を調節する発生関連遺伝子群の近くに集まっていた。これらの遺伝的バリアントの同定は、ヒトの脳の発生に見られる変動性の原因についての手掛かりをもたらし、精神神経機能障害の機序の解明に役立つ可能性がある。

