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免疫学:AAVを使って発現させたeCD4-Igは複数回のSHIV攻撃投与に対して持続性のある防御を示す

Nature 519, 7541 doi: 10.1038/nature14264

広範囲にわたって強力な効果を示す侵入阻害剤をin vivoで長期にわたって発現させれば、HIV-1に対する従来型ワクチンの必要性を回避できる可能性がある。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、HIV-1に対する広域中和抗体(bNAb)を安定的に発現することができる。しかし、bNAbは最も効果の高いものであっても、HIV-1分離株の10~50%を非効率的に中和するだけであり[80%阻害濃度(IC80) > 5 μg ml−1]、包括的な防御を達成するには、このような抗体がもっと高濃度でなければならないと考えられる。今回我々は、CCR5を模倣した小型スルホペプチドとCD4-Igとの融合分子であるeCD4-Igが、HIV-1エンベロープ糖タンパク質であるEnvに強固かつ協同的に結合し、最も良質のbNAbよりも強力な効果を発揮することを示す[50%阻害濃度(IC50)の幾何平均 < 0.05 μg ml−1]。eCD4-IgはEnvの保存されている領域とだけ結合するので、結合範囲はどのようなbNAbよりもずっと広くなる。例えば、eCD4-Igは多様な中和抵抗性HIV-1、HIV-2およびサル免疫不全ウイルスの分離株群について、その100%を効率よく中和し、この中にはCD4結合部位bNAbのVRC01、NIH45-46および3BNC117に対して抵抗性を示す分離株の広範囲にわたるセットが含まれている。AAVベクターを接種されたアカゲザルは、完全な機能を持つアカゲザル型eCD4-Igを17~77 μg ml−1のレベルで40週以上にわたって安定に発現し続け、このようなサルはSHIV-AD8の複数回の攻撃投与から防御された。アカゲザル型eCD4-Igはまた、性質がよく調べられている4種類のアカゲザル型bNAbよりも免疫原性が著しく低かった。我々のデータは、AAVを使って送達されたeCD4-Igが効果的なHIV-1ワクチンと同じように機能できる可能性を示している。

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