Letter
気候科学:グリーンランド北東部の表面の融解水による氷底湖の涵養
Nature 518, 7538 doi: 10.1038/nature14116
温暖化した気候では、大規模な氷床表面の融解水生成が増加すると予想されている。この水が氷床底面に輸送されると、氷のダイナミクスに重大な結果をもたらす可能性がある。例えば、拡散したネットワークに供給される底面水は、底面の摩擦を減少させ、氷の流れを加速できるが、流路に沿って流れる底面水は、氷床外縁に速やかに移動でき、フィヨルドの循環と海中の融解速度を変化させ得る。表面の融解水が大規模氷床の下にある氷底湖に閉じ込められて貯蔵されるかどうかはよく分かっていない。本論文では、氷床表面の崩壊に見られるように、グリーンランドの氷底湖から水が速やかに流出し、表面の融解水が流入して補充されることを示す。人工衛星立体画像と航空機測定による数値標高モデルを用いて、グリーンランド北東部のFlade Isblink氷帽の表面と底面水文系の変化時における標高の変化を解明した。2011年の秋季には、氷底湖から近くのフィヨルドに水が流出して、深さ約70 m、体積0.4 km3の陥没盆地が氷帽の南側の頂上付近に形成された。その後2年間にわたって、表面の融解水が盆地境界の周りのクレバスに流入し、氷底湖を再び満たして、盆地底部(面積約8.4 km2)が急速に隆起した。今回の観測結果は、表面の融解水が氷床底部に閉じ込められ貯蔵され得ることを示している。この閉じ込められた融解水から放出される顕熱と潜熱は、隣接する温度の低い底面氷を緩ませ、下流の氷のダイナミクスを変化させる可能性がある。氷底湖に閉じ込められた融解水に関連する熱輸送は、温暖化した気候において氷床のふるまいがどのように変化するかを予測する際に考慮するべきである。

