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考古学:ジャワ島トリニールのホモ・エレクトスは道具の制作や彫刻に貝殻を使っていた

Nature 518, 7538 doi: 10.1038/nature13962

幾何学模様の彫刻の制作は現代的な認知や行動の兆候だと一般に解釈されている。こうした彫刻制作の起源に関する議論で生じる重要な疑問は、この新機軸がホモ・サピエンス(Homo sapiens)に限られたものなのかどうか、また、その起源がアフリカに固有なのかどうかという点である。本論文では、トリニール(インドネシア・ジャワ島)のHauptknochenschicht(「主要な骨化石層」の意味)で見つかった淡水二枚貝の化石群について報告する。トリニールは、1891年にウジェーヌ・デュボワが発見したホモ・エレクトス(Homo erectus)のタイプ産地である。我々は、デュボワのコレクション(ナチュラリス生物多様性センター所蔵;オランダ・ライデン)の中に、ヒト族による淡水二枚貝の摂食を示す証拠、1個の明白な貝器、および幾何学模様が刻まれた1個の貝殻を見つけた。これらの貝殻の隙間に残っていた堆積物の年代を40Ar/39Ar法およびルミネッセンス法で測定したところ、最大で54 ± 10万年前、最小で43 ± 5万年前という数値が得られた。これは、トリニールのHauptknochenschichtの年代が従来の推定よりも新しいことを意味する。総合すると今回のデータは、この刻み模様がホモ・エレクトスによって付けられたものであり、これまで最古とされていた幾何学模様の彫刻と比べて大幅に古いことを示している。今回の刻み模様の付いた貝殻の役割や意味を現時点で判断することはできないが、この発見は、抽象的な模様を彫刻するのに十分な認知能力や神経運動制御能がアジアのホモ・エレクトスに備わっていたことを示唆している。

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