有機化学:地球に豊富に存在する金属触媒による芳香族ヘテロ環のC–H結合のシリル化
Nature 518, 7537 doi: 10.1038/nature14126
炭素–ケイ素(C–Si)結合を持つヘテロ芳香族化合物は、非常に有用な物理化学的特性を持つため、有機エレクトロニクスやフォトニクス、創薬、核医学、複雑分子合成の分野において大きな関心が寄せられている。ヘテロ芳香族C–Si結合の構築に現在用いられている方法の多くは、ヘテロアリール有機金属種とケイ素求電子剤の化学量論的反応や、水素受容体の過剰存在下でロジウム錯体またはイリジウム錯体を用いる、遷移金属触媒による直接的な分子間炭素–水素(C–H)シリル化が関与するものである。いずれの手法も有用であるが、官能基との相性が悪い、応用の範囲が狭い、触媒が高価で入手しにくい、スケーラビリティーが確認されていないなどの制限がある。このため、そうした制限を回避する新しい一般的な触媒的ヘテロ芳香族C–Si結合構築法が非常に望ましい。今回我々は、地球に豊富に存在するアルカリ金属種によって触媒される交差脱水素的ヘテロ芳香族C–H官能基化の例について報告する。我々は、容易に入手できる安価なカリウム tert-ブトキシドが、ヒドロシランによる芳香族ヘテロ環の直接シリル化を触媒し、これにより単一ステップでヘテロアリールシランが得られることを見いだした。このシリル化は、水素受容体、配位子、添加剤が存在しなくても温和な条件下で進行し、任意の無溶媒条件の下で100 g以上にスケールアップ可能となっている。また、貴金属触媒で活性化しにくい種類の基質が、高い収率と優れた位置選択性でシリル化されている。得られたヘテロアリールシラン生成物は、ヘテロ芳香族化合物の精密合成を目的とした新しい合成戦略を可能にする汎用的な変換反応に容易に組み込むことができるだけでなく、ヘテロアリールシラン生成物自体が、医薬や材料科学への応用にも役立つ。

