Letter
材料化学:近接固定化イオンによる疎水性相互作用の変化
Nature 517, 7534 doi: 10.1038/nature14018
非極性分子フラグメントや非極性表面付近の水の構造は、さまざまな界面現象やコロイド現象、生物物理学現象の基礎となる疎水性相互作用を仲介する。過去10年間の大きな進展によって、単純なモデル系の疎水性相互作用に関する我々の理解は深まったが、生物学的、技術的に重要なほとんどの構造体には、極性官能基や帯電した官能基のすぐ近くに非極性ドメインがある。そうしたナノメートルスケールの化学的不均一性を探求する理論やシミュレーションから、不均一性が重要な影響を及ぼし得ることが見いだされているが、この不均一性が疎水性相互作用に及ぼす影響は実験的に検証されたことがない。今回我々は、アルキル官能化した表面を化学力顕微鏡で測定することによって、アミン基またはグアニジン基を同時固定化すると表面の疎水性相互作用の強さが劇的に変化することが明らかになったことを報告する。アミン基のプロトン化によって疎水性相互作用の強さが2倍になるが、グアニジウム基は、調べた全pH範囲において、測定可能な疎水性相互作用を失わせる。我々は、こうした近接固定化カチオンの相異なる効果を、アミンまたはグアニジンを持つサブユニットから1 nm離れた位置に非極性サブユニットを持つ構造的に安定なβペプチドの単一分子測定でも観察している。我々の結果では、ナノメートルスケールの化学的不均一性が重要性であり、疎水性は任意の非極性ドメインに固有の特性ではなく、1 nm程度離れた官能基によって大きく変わることが実証されている。従って、荷電基を疎水ドメイン付近に慎重に配置することによって、疎水性駆動力を調節して分子認識過程や自己集合過程を最適化する戦略が得られる。

