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植物科学:保全農業の原則が生産性に対して示す限界と可能性

Nature 517, 7534 doi: 10.1038/nature13809

現代の主な課題の1つは、数が増えて需要も増大しつつある世界人口に食糧を供給する一方で、外部からの投入資源量を減らして環境への影響を最小限に抑え、なおかつ、これら全てを今後、今以上に不安定で極端な気候条件の下で実現することである。保全農業(conservation agriculture)は3つの作物管理原則を標榜する農業形態であり、この課題への対処に役立つとして強力な国際的支援を受けている。最近の保全農業の取り組みは、アフリカのサハラ以南や南アジア地域での小自作農システムに集中している。しかし保全農業については、作物収量に対する効果と、さまざまな農耕状況での適用可能性の両面から議論が絶えない。今回我々は、610件の研究による5463組の収量比較観察結果を利用して全球レベルのメタ分析を実施し、63か国の48作物にわたって、保全農業の本来の中心的概念である「不耕起」を従来型の耕起農法と比較した。分析結果からは全般的に、不耕起で収量が低下することが明らかになったが、この応答は可変的であり、条件によっては不耕起が従来型の耕起農法と同等かそれ以上の収量をあげる場合もあった。重要なこととして、不耕起を保全農業の残り2つの原則、「作物残渣保留(residue retention)」および「輪作」と組み合わせると、不耕起の負の影響は最小限に抑えられた。さらに、不耕起にこの2原則を併用すると、乾燥気候の天水作物生産性が大幅に向上したことから、世界の乾燥化が著しい地域にとって重要な気候変動適応戦略となる可能性が示唆される。ただし、そうした乾燥地域ではいかなる保全農業の拡大も慎重に行うべきである。なぜなら、作物残渣保留と輪作の2原則実施は、資源が乏しく脆弱な小自作農システムでは困難な場合が多く、収量の増加ではなく減少をもたらす可能性が高まるためである。農業システムは多機能であり、環境的・社会経済学的要因を考慮する必要があるが、今回の分析結果は、農業の持続可能な強化に不耕起が寄与する可能性が、多くの想定よりも限定的であることを示している。

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