Letter

気候科学:最終氷期サイクルにおける大西洋深部の南北方向の強い鉛直循環

Nature 517, 7532 doi: 10.1038/nature14059

最終氷期サイクル(14万年前から現在まで)における、極端で急激な北半球の気候の振動は、海洋循環と大気強制の変化によって調節されてきた。しかし、大西洋の南北方向の鉛直循環(AMOC)には、低緯度域から高緯度域への熱輸送と海洋のCO2貯蔵を制御する役割があるが、最終氷期極大期以前のその変動はまだあまり絞り込まれていない。本論文では、深部の活発な南北方向の鉛直循環が最終氷期サイクルの大半の期間持続し、大西洋の海洋循環を支配していたのに対して、氷期極大期には、北大西洋西部の深部を占めていた南半球起源の海水を伴う浅い氷河モードが卓越していたことを示す。今回の結果は、北大西洋西部の深部における分解能の高い海洋性堆積物から得られた、最終氷期サイクルにおけるAMOCの強度と方向の再構築に基づいている。全球循環の変化の影響を直接には受けない、独立した2つの海水の化学的トレーサー(231Pa/230Th同位体比と143Nd/144Nd同位体比)の測定を並行して行った結果、最近の2回の退氷期におけるAMOCの応答が一致すること明らかになった。この形からのかなりのずれは、AMOCの減速を生じさせるが、壊滅的な氷山流出が起こったハインリッヒ亜氷期の百年スケールの偏位に限定されていた。数百年にわたる北大西洋深層水形成の深刻な弱化は、おそらく淡水の流入が増加した結果、氷の被覆面積が増加した氷期極大期に近いハインリッヒ亜氷期においてのみ起こった。対照的にAMOCは、より温暖な気候状態における千年未満の融氷水パルスに対して比較的敏感でなく、ダンスガード・オシュガー亜間氷期(グリーンランドの温暖期)においては活発なAMOCが卓越していた。

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