量子物理学:中性物質における量子化コンダクタンスの観測
Nature 517, 7532 doi: 10.1038/nature14049
輸送実験では、コンダクタンス変化が離散ステップでのみ起こるとき、物質の量子性が直接明らかになり、ステップのサイズはプランク定数hだけで決まる。電気コンダクタンスにおける量子化ステップの観測結果から、メソスコピック系の物理に関する重要な知見が得られ、量子電子デバイスの開発が可能になった。量子化コンダクタンスは電荷の存在に依存しないにもかかわらず、質量を持つ中性粒子ではこれまで観察されていない。その最も基本的な形では、量子縮退フェルミ気体、弾道的(バリスティック)で断熱的な輸送チャネル、フェルミ波長に匹敵する寸法のくびれが必要となる。今回我々は、化学ポテンシャルバイアスによって駆動された中性原子の輸送において量子化コンダクタンスを観測したことを報告する。この中性原子は超バリスティック領域にあり、この領域では原子の平均自由行程が、輸送チャネルのサイズだけでなく、原子リザーバーを含む系全体のサイズをも超えている。我々は、高分解能リソグラフィーを使って、原子に対する量子点接触あるいは量子細線を実現する光ポテンシャルを形成した。こうしたくびれは、原子リザーバーをつなぐ準二次元バリスティックチャネル上にインプリントされた。ゲートポテンシャルとくびれの横方向閉じ込めのいずれかを変えると、原子コンダクタンスに明瞭な複数のプラトーが観測された。第一プラトーのコンダクタンスは普遍コンダクタンス量子1/hに等しいことが分かった。我々は、ランダウアーの公式を使って今回の結果をモデル化し、低いゲートポテンシャルではよく一致することを見いだしている。この際、パラメーターは全て先験的に決定された。今回の実験によって、チャネル構造だけでなく、相互作用の強さ、サイズ、熱化速度など原子リザーバーの特性も幅広く制御した、量子導体の研究が可能になる。

