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構造生物学:フェムト秒X線パルスによって1.95 Å分解能で明らかにされた、光化学系IIの本来の構造

Nature 517, 7532 doi: 10.1038/nature13991

光合成は、光のエネルギーを生物学的に有用で地球上の生命に不可欠な化学エネルギーに変換する。光合成の最初の反応が行われるのは、700キロダルトンの膜タンパク質複合体である光化学系II(PSII)ホモ二量体で、これが酸素発生複合体(OEC)のS状態の遷移サイクルを介して、水の酸素分子への光酸化を触媒する。PSIIの構造は、X線回折(XRD)によって1.9 Åの分解能で解明されており、OECは明確に定まった周囲環境内のタンパク質によって配位されたMn4CaO5クラスターであることが判明している。しかし、広域X線吸収微細構造(EXAFS)の研究によって、OECのマンガン陽イオンがX線照射によって容易に還元されることが分かり、また、XRD、EXAFS、理論研究によって得られたMn–Mn間の距離には、わずかな違いがあることが見つかった。今回我々は、好熱性シアノバクテリアであるThermosynechococcus vulcanusから精製したS1状態のPSIIについて、X線自由電子レーザー施設SACLA(SPring-8 ångström compact free-electron laser)のフェムト秒X線パルスと数百個の大型で同形性の高いPSII結晶を用いて、PSIIの「X線照射による損傷のない」構造を1.95 Åの分解能で明らかにした。XRDで得られた構造と比較すると、X線自由電子レーザーによって得られたOEC構造では、Mn–Mn間距離が0.1~0.2 Å短かった。各マンガン原子の原子価は、Mn–リガンド距離の平均とMn(III)のヤーン・テラー軸の解析に基づいて、Mn1D(III)、Mn2C(IV)、Mn3B(IV)、Mn4A(III)と推定した。オキソ架橋酸素の1つであるO5は他のオキソ酸素原子に比べ、Mnとの距離が著しく長いことから、O5は通常の酸素ジアニオンではなく水酸化物イオンであり、基質酸素原子の1つとなっている可能性が示唆された。これらの知見によって酸素発生機構の構造基盤が明らかになった。この構造は、水の酸化を行う人工触媒の設計への手掛かりになるだろう。

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