植物科学:PLETHORA勾配の形成機構によって分かれるオーキシン応答
Nature 515, 7525 doi: 10.1038/nature13663
植物の成長の際には、分裂組織中にあって分裂する細胞は分裂から肥大、さらに分化への移行を協調させる必要があり、そのために分裂組織、伸長域、分化域という3つの異なった発生帯域が生じる。植物はこれと同時に屈性を示して、環境条件に適応するために成長の方向を速やかに調節する。成長方向を一時的に適応させる際に各帯域を安定に維持する仕組みは不明である。シロイヌナズナの根では、このような帯状構造のさまざまな性質が、植物ホルモンであるオーキシンと、オーキシンによって誘導される転写因子PLETHORA(PLT)によって制御されている。オーキシンとPLTは、どちらも勾配を作るように分布していて、根端近くの濃度が最も高い。さらに、オーキシンは屈性応答にも極めて重要である。今回我々は、反復実験と計算論的手法を使って、オーキシンとPLTの相互作用が帯状構造形成と重力屈性を制御する仕組みを明らかにした。PLTの濃度勾配は、オーキシン濃度勾配に比例するような直接的読み出しではないことが分かった。オーキシン濃度の高い状態が長くなると、PLT転写の起こる狭い領域が生じ、次いでこの領域から、ゆっくりした成長による希釈と細胞から細胞への移行によってPLTタンパク質の濃度勾配が形成される。こうして決まったPLT濃度が、発生帯域の位置を決める。オーキシンはPLT転写をゆっくりと促進するのに加えて、分裂や伸長、分化の速度には迅速に影響する。オーキシンが異なった機構と異なった時間的尺度を介してPLTと協働するというこの特異的な設計の調節によって、屈性の環境への素早い応答と、協調的な細胞分化に必要な安定した発生帯域構造動態の両方を可能にする仕組みを、我々は実証した。

